商品の詳細
露MELODIYA M10 40291-2 アジェーモフ(pf)の演奏で、ベートーヴェン、リスト他。レニングラード・オリジナル。
・第一面…ベートーヴェン：エロイカ変奏曲。
・第二面…リスト：忘れられたロマンス、ドビュッシー：3つの前奏曲(デルフィの舞姫、途絶えたセレナード、ヴィーノの門)、カゼッラ：トッカータ、メトネル：ディデュランボス2番。
忘れられない凄腕です。アジェーモフは1911年生まれ、イグムノフの弟子。さらにはロシアオルガン楽派の始祖であるゲディケの助手を務めました。なぜか若い頃の録音はなく、50～60歳代になってからLP2枚分だけ残しました。録音嫌いだったのか、縁がなかったのか。しかしここには才能あるピアニストが長年音楽に向き合ってきた結果とも言える感動的な演奏が刻まれています。「エロイカ変奏曲」では音に心を込めて、一つ一つの変奏が芽吹いてゆく。まるで今ここで即興的に変奏曲を産み出しているかのよう、生命に満ち溢れた空間。まさに歓喜の空間です。リストの忘れられたワルツは晩年のリスト新境地の世界。薄暗くうろんな世界と、そこに射し込む光。光と闇を印象派のように描きますが、描写というよりはどこか神話的なニュアンスがあります。ドビュッシーも極めて面白い。優れた音楽家の演奏には聴いたことのないような世界を感じて一瞬異様に思うものですが、アジェーモフの表現にはそれがある。「デルフィの舞姫」では鐘のような響きがだんだんと空間を支配していきますが、派手にではなく、じんわりと。ただならぬ余韻の深さです。「途絶えたセレナード」は特に凄い。この「動き」のリアリティ。ヘビが獲物を捕獲するのと変わらぬ瞬発力で、空間の秩序ごと動かすというか、複雑にして異界のような気配を作り出しています。一体どうやっているのでしょうね。「ヴィーノの門」も圧巻です。ばあぁと呪いの言葉を広げるような怪しさ。この曲の深淵にまで踏み込むかのような表現は、楽譜をなぞるのではなく今ここで作曲しているかのような「リアル」さです。カゼッラの曲にはドビュッシー程の天才はありませんが、これほど執拗に奏されると否が応でも心が動いてしまいます。アジェーモフの胆力の凄まじさ。最後は本盤唯一のロシア作曲家メトネル。錯綜し矛盾する感情を、愛を、官能的に表現する技量の凄さ。これは作曲家を超えたかもしれません。どうぞこの最高水準のピアノ芸術を味わってみてください。
盤質：盤面溝ともとても良い状態。美品～ほとんど美品。
ジャケ：ほとんど美品。
【盤質評価】全面視聴してから出品しています。区分は以下のものを採用しておりますが、必要に応じて詳しく説明するようにしています。
美品(Ｍ)：新品並みの状態。
ほとんど美品(ＮＭ)：極浅い擦れや軽微な傷。
きわめて良好(ＥＸ)：年相応の擦れや浅傷。ひどいものはなし。
良好(ＶＧ)：擦れや傷などが目立つ。＊音溝が活きてなければ出しません。
■丁寧に梱包して送ります。またトラブルなどには誠実に対処いたしますのでよろしくお願いいたします。
